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原作本を読んで映画メイズ・ランナーを観に行きました

  最終更新日:2016/05/21

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メイズ・ランナー

 映画を観る上で原作本を読んでから行くかどうかを私は毎回迷います。しかし、今回は本屋で適当に本を探しているところでたまたまメイズ・ランナーの原作本を見つけてしまったので、読んでから行くことにしました。

 本記事ではあらすじやキャラクターについて触れていますが、致命的なネタバレは特にありません。なお、2作目のメイズ・ランナー2:砂漠の迷宮の感想記事はこちらです。

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あらすじ

 意識を取り戻した少年トーマス(映画では20才前後だが小説では16才ぐらい)は自分がエレベーターに乗っていることを知る。自分の名前以外思い出せないまま、やがてエレベーターは停止する。止まった場所は、40名の少年が暮らす巨大な迷路の中だった。

 少年達が暮らす場所はグレードと呼ばれる迷路の中心に位置し、毎朝決まった時間に迷路への扉が開き、日が落ちる前に閉じる。扉が閉まる前にグレードに戻れないと怪物の潜む迷路では命の保証はない。少年達は3年間(原作では2年)も迷路に閉じ込められており、迷路を脱出するために探索する者達をランナーと呼んでいた。トーマスもランナーになりたい衝動に突き動かされながら、迷路を脱出するために行動を起こしていく。

映画の感想

 星5つ評価で4です。原作は星3つの評価だったので、映画のほうが面白く感じました。ストーリーはテンポ良く進みますが原作の重要な点はほぼ抑えられており、原作の要素を十分に汲み取って作っていることが分かります。その点は脚本と監督の手腕が大きいでしょう。

 巨大な迷路の描写は圧巻でした。原作では数十メートルぐらいの壁と言う描写はあるのですが、真に迫る感じがしませんでした。巨大な迷路に閉じ込められている感覚は映像になって初めて分かる感覚で、その意味で本作は映像向きの作品と言えると思います。

 主要メンバーの若手俳優陣は今後の活躍次第ですが人気を集めそうな気がします。

 『メイズ・ランナー』のタイトルからすると、迷路を脱出することに主眼を置いているように思われるでしょうが、作者が本当に描きたかったのは閉鎖空間における若者のコミュニティだったように思います。そのため、謎解きに期待して観ると肩透かしになります。閉鎖空間の謎解きと言えば、映画『キューブ』のほうが断然面白く、それと比較すると本作は今ひとつと言ったところです。

 この映画は三部作の第1作目であり、謎がほとんど解かれないまま終わります。三部作と知らずに観ると多分がっかりします。どうも2作目の『砂漠の迷宮(原題:The Scorch Trials)』も謎が解決せずに3作目に続くようなので、この作品はあくまで三部作として捉えないと駄目なようです。2作目は日本でも今秋に公開され、3作目は来年ぐらいには公開されるのではないでしょうか。しかし、1作目で張った謎と伏線を全て解決できるのか、3作全部を観ないと評価できないところです。

原作について

 Wikipediaによると”アメリカの小説家ジェームズ・ダシュナーが2009年に発表したヤングアダルト向けSFスリラー小説”です。ヤングアダルト向けと言えば『ハンガー・ゲーム』もそのひとつです。日本で出版されたのは2015年4月なので、明らかに映画に合わせて出版された形です。原作は160万部も売れており、日本での出版は遅すぎるくらいです。推測ですが、最近の翻訳作品を集めた若者向きの適当なレーベルが日本には(私が記憶する限り)無いので、日本では売りにくかったのかもしれません。日本の若者向きだと最近はライトノベルになってしまいますからね。本作はライトノベルの読者層ともちょっと合わない気がします。

 翻訳本は講談社文庫から発売され、以降の作品も刊行が予定されています(翻訳本のあとがきより)。おそらく、2作目の映画公開までには次作が出版されることでしょう。

 9月12日追記:やはり2作目の小説が映画公開前の9月24日に発売されます。

原作と映画の違い

 原作と映画では結構違いがありました。

 原作ではグレードの中だけで通じるスラングがやたらと飛び交ってました(そもそも、グレードもスラングですね)。そのため、最初はものすごく取っ付きにくかったです。グリーニー、シャンク、クランク等、主人公も最初は戸惑います。職業名もスラングだらけで慣れるのに時間がかかりました。映画ではグリーニーとシャンクぐらいしか聞きませんでした。グリーニーは字幕では単に「新入り」と表記されていたので、原作を読んでないと分からない点です。ちなみに、グリーニーはグリーンビーン(Green Bean、いんげん豆)から発音が短縮され、未成熟な豆が新入りの意味になっているようです。

 原作では迷路が正方形だったのが、映画では円形でした。しかも、原作では「太陽が見えない」、「雨が降らない」といった描写があるのに、映画では普通に雨が降ってました。太陽に関する言及もありませんでした。

 実は一番驚いたのはリーダーのアルビーの性格の変化でした。原作では横柄でぶっきらぼうな感じだったのが、映画では超親切でした。ギャリーの性格も規則順守の堅物に変わってました。ただし、嫌な奴と言うのは変わりませんでしたが。

 迷路の謎と謎解き手順も変わってました。他にもかなり違いがあります。

 この様に原作と映画で結構な違いがある訳ですが、映画を観た後に原作を読む事をあまりオススメはしません。理由は、中盤ぐらいまでは緊迫感があって非常に面白いのに、終盤は描写が甘く、設定をなぞるだけのような展開になるためです。映画はその辺りの問題点をうまく解消していると思います。原作では大量のスラングがあり、読みにくさを助長しています。それでも興味がある方はぜひ原作小説も読んでみて下さい。

参考

 原作小説です。表紙の絵は日本オリジナルのものです。