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映画「罪の余白」を観てから原作小説を読みました

  最終更新日:2016/05/22

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罪の余白

 映画「罪の余白」を観に行きました。原作が小説の場合、映画を観る前に読むことが多いのですが、今回はあえて見終わった後に読むことにしました。

 ネタバレは無いように書いたつもりですが、あらすじに触れざるをえなかった箇所もあります。その点をご理解いただいた上でお読み下さい。

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映画の感想

 まず、この映画を観ようと思ったきっかけは、テレビで30秒の予告CMを見たことでした。主演の内野聖陽のファンだったのと、娘を失った主人公(安藤聡)と娘の友人(木場咲)との心理的な対決がおもしろそうだと思いました。事前に情報収集すると映画がつまらなくなるだろうと考え、テレビCM以外は一切見ずに映画館に足を運びました。

 最後まで観終わった後に思ったのは、CMから予想していたストーリーとあまり違いがなかったなと言うことです。勝手な想像でミステリー的な要素があるのかなと思っていたのですが、それはありませんでした。あくまでサスペンス作品です。家に帰ってPCに残していたCMを改めて見ると、ストーリーの要素がほぼ入っていました。CMで見所やネタバレが入っていることは良くありますが、罪の余白も同じような感じがします。映画を観なくても全てが分かると言う訳ではなかったですが…

 とは言え、わりと最初から最後まで映画に引き込まれて観ることができました。気づいたら2時間経っていたと言う感じです。俳優の表情が気になって見入っていました。インタビュー記事によると撮影前にカメラリハーサルを念入りに行っていたようです。今から観る場合、俳優の表情に注目してみると良いのではないかと思います。

 演技に関しては、安藤聡役の内野聖陽はもちろんの事、木場咲役の吉本実憂の演技も良かったです。下手だと感じる俳優は特にいませんでした。素人っぽかったのは担任の先生ぐらいでしょうか。

 しかし、CMのテロップで流れていた「死んだ娘の親友は悪魔でした。」と言うほど悪魔ではなく、「極限の心理戦が始まる。」と言うほどの心理戦はなかったです。「追いつめられた父が突き止める衝撃の真実」とやらもイマイチでした。正直、2時間ドラマでも良かったのではないかと思います。

 映画の評価は星5つ評価で3つです。面白いと言えば面白いが、良い意味で期待を裏切るようなストーリー展開が特に無かったのが残念な所です。木場咲が安藤聡の娘をなぜいじめたのか、木場咲はなぜ人の心理をもてあそぶ様な性格になってしまったのかも最後まで良く分かりませんでした。安藤聡の立場で見ても、最後に娘の復讐をある意味果たす訳ですが、それでめでたしめでたしで終わって良いものかどうか考えさせられました。

 長々と書きましたが、ここまでは小説を読む前の感想です。

小説読了後の感想

 小説は主要な登場人物の一人称視点で描かれます。映画では登場人物の内面を表情で汲み取る以外に方法がなかったので、その点が小説では良く分かります。ストーリーの大筋は映画とほぼ同じなので、このシーンではこんな風に考えていたのかと気付かされます。

 映画と大きく異なるのは、谷村美月が演じた小沢早苗の性格が違うことです。小説では、相手の感情や気持ちが汲み取れない、まるでアスペルガー症候群のような人物として描かれています。しかし、映画での小沢早苗は安藤聡に恋心を抱くおどおどした女性にしか見えませんでした。また、小説では37才でおそらく教授になっていると思われるのですが、現在25才の谷村美月ではなく、せめて30代の女優さんが演じるべきだったのではないでしょうか(谷村美月の演技は良かったですが)。映画では小沢が上司、安藤が部下と言う上下関係だと理解したものの役職が不明だったので、なんだか良く分からない関係に思ってしまいました(なお、内野聖陽は47才です)。小説を読んでようやく関係を理解した次第です。谷村美月の年齢から考えるに、映画では助教授と講師の関係だったんでしょうか。

 もう一つ大きく異なるのは、映画では親は安藤聡しか出ていませんでしたが、小説では木場咲の両親の様子も描かれていた点です。時間の都合上、映画では親(家族)が登場しなかったのだと思いますが、木場咲の人格形成に家族がどんな影響を与えたのかと言ったことが良く分かりませんでした。

 小説と映画のどちらが面白いかと言うと、小説のほうが面白かったです。ただし、映画が星3の評価に対して、小説は星3.5の評価です。しかし、映画では原作にはないオリジナルのシーンもあり、全てが小説のほうが良いと言うわけではありません。映画は2時間と言う尺のなかで、安藤聡の狂気、木場咲の狡猾な振る舞い、安藤聡と木場咲の心理戦に焦点を当てて描いています。内面描写の多い小説をうまくシナリオに起こしたなと思いました。ですが、最後を父親の単純な復讐劇にしてしまった点が残念です。小説では反省を促すような内容もあるので、その点が映画に盛り込まれていたら自分の評価は変わったかもしれません。

 映画だけ観た人は小説を読むべきだと思います。映画だけでは理解できないことが小説を読めば理解できます。原作のファンで映画の内容に不満を感じた人もいるかと思いますが、原作ファンの方ももう一度読み返されてはどうでしょうか。また違った一面が見えてくるかもしれません。

パンフレット

 パンフレットを購入したのは映画を観終わった後でした。正直、買うかどうか相当悩みました。パンフレットを買うまでもないような気もしながら、ブログで記事を書くことを考えると買ったほうが良いだろうと言う判断を下しました。

 結局、失敗でした。パンフレットのサイズはB5サイズです。カラーだったのは表紙だけで中身は全てモノクロです。しかも、インタビュー記事は内野聖陽と吉本実憂だけです。映画ライターの記事が最後に載っていましたが、これはどうでも良いです。600円も払う価値は全く無かったです。インタビューの内容もインターネットで読むことができるインタビュー記事のものと大差なかったので、残念感しか残りませんでした。

 最後にどうでも良い話ですが、映画館近くの駐輪場に貼ってあった「困ります!自転車置き去り知らんぷり」と書かれたポスター、何度も見ていたはずなのに今更ながら吉本実憂だと気づきました。調べると2013年に作られたポスターのようです。張替えもせず、ずっと張られていたのでしょう。少なくとも吉本実憂という女優に気づいたことは、私にとって今回の映画の収穫だったようです。