これから録画サーバを作りたい人向けの省電力対応おすすめハードウェア構成
最終更新日:2016/07/13
録画サーバ向けのおすすめのハードウェア構成を紹介します。24時間稼働を前提としているので、省電力対応で消費電力を低めに抑えることを前提としました。
おすすめパーツに関しては「これから録画サーバを作りたい人向けのおすすめパーツ」の記事をご覧ください。
2016年6月19日追記)本記事の情報も古くなってしまったため、「省電力PC向けおすすめハードウェア構成」と「今から始める録画サーバの運用方法とおすすめパーツ」の2つの記事にまとめなおしました。どちらの記事も情報が古くならないように随時更新中です。
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目次
CPUとPCの消費電力の関係
ハードウェア構成の説明に入る前にPCの消費電力に関して説明します。
最終的にPCを組み立てた時の消費電力は搭載されているCPUと相関関係にあります。そこで、省電力なCPUを中心に完成品のPCの消費電力を調べてみました。消費電力の少ないほうから順に並べると以下の様になります(代表的なCPUのみピックアップ)。
- Celeron J1900 or Celeron N3150
- Pentium N3700
- Athlon 5350
- Celeron G1840
電源やその他のパーツの組み合わせが全く異なるPCの結果を並べた調査結果なので、あくまで参考記録として見て下さい。
Celeron J1900とN3150のどちらが低消費電力か分からなかったため同順位にしています。WorkToolSmith.comさんの記事によるとJ1900とSSDの構成でアイドル時5.1W、負荷時13.6Wだそうです。HDDを載せて+10W程度と考えると常時20W前後で稼働できそうです。
Celeron G1840でもAscii.jpの記事、「エコでも性能は大切! 内蔵GPUより低消費電力なGeForce GT 730」によると、ビデオオンボードの記録でアイドル時21W、負荷時52Wでした。
補足ですが、CeleronにはG1850と言うモデルもあります。G1840と千円ちょっとの価格差があるのですが、ベンチマークのスコアを比較すると雀の涙ほどの差しかないので、G1840のほうを購入するのが良いでしょう(参考:Intel Celeron G1850 vs. Intel Celeron G1840)。
おすすめのハードウェア構成
CPU、メモリ、マザーボード、電源の組み合わせでおすすめのハードウェア構成を検討してみました。以下の4つのパターンを紹介します。
- ファンレスPC
- 電源付きPCケースで作るPC
- ベアボーンキットで作るPC
- PT3の2枚挿し対応PC
いずれも省電力PCです。録画サーバでは大きなメモリ容量は必要ないのですが、コストパフォーマンスを考慮して8GBとしました。なお、Linuxだと4GBもあれば十分だと思います。余っているメモリがあれば、それを流用するのも手です。
ファンレスPC
まず最初に取り上げるのは、ACアダプタ電源で動くファンレスPCです。
マザーボードはASRock Q1900DC-ITXです。このマザーボードにはファンレス動作のCeleron J1900がオンボードで搭載されており、別途CPUを購入する必要がありません。
メモリはノートPC用のSO-DIMMを使用します。
電源は9~19Vの範囲のACアダプタを使用します。このPC用に別途購入しても良いのですが、規格さえ合えばノートPC用のACアダプタも使用可能です。東芝、富士通、NEC、Acerなどのものが適合します。規格に関しての詳細はASRockのページを参照して下さい。
CPUファン、電源ファンが存在しないので、HDDのモーター音を除くとほぼ無音のPCを作ることができます。
2015年10月12日追記:こちらの記事、「Celeron J1900でACアダプタ電源の録画サーバ用PCを作成しました」で実際にこの作例でPCを作ってみました。
電源付きPCケースで作るPC
続いて紹介するのは電源付きのPCケースで作るPCです。一般的なPCケースに電源は付いていないので、電源を別途購入する必要があります。しかし、ここで紹介するPCケースは最初から電源が付いています。
Element QiはMini-ITX規格のPCケースです。220WのSFX電源が付属しています。普通のPCよりも最大出力が小さいですが、録画サーバとしてならば十分な大きさです。注意点は、ケースサイズが小型と言うこともあり、空気の流れが今ひとつのようです。パーツを色々と詰め込んでいって熱がこもるようだと、電源ファンなどに何らかの対策が必要かもしれません。
このPCケースを使用した場合のハードウェア構成をIntel CPUとAMD CPUの2つのパターンで考えてみました。
Intel CPUの場合
Intel CPUを選択する場合の作例はこちらです。
マザーボードはMini-ITX規格のGIGABYTE GA-J1900N-D2Hです。先程のファンレス構成と同じでCPUはオンボードのCeleron J1900です。同じくファンレスです。
メモリはノートPC用のSO-DIMMを使用します。
AMD CPUの場合
AMD CPUを選択する場合の作例はこちらです。
マザーボードは約4千円と格安のASRock AM1B-ITXです。こちらはCPUを別途購入する必要があります。
CPUはAthlon 5350を選びました。こちらは4コアプロセッサでCeleron J1900より若干性能が上です。ただし、こちらはファンを装着する必要があります(BOX品に付属)。
メモリはDDR SDRAMを使用します。
ベアボーンキットで作るPC
PCケースに電源、マザーボードが最初から組み込まれた状態で売られているものをベアボーンキットと言います。後はCPU、メモリ、ハードディスクを載せればPCとして動いてしまうので、自作PC初心者向けの製品と言えます。
録画サーバ向きのベアボーンキットを調べたのですが、PCI Express x1が使用できるキューブ型で2万円を切るものは上記のものしかありませんでした。
CPUソケットはLGA1150なので、Celeron G1840を選びました。J1900と比べると性能は1.5倍前後の差があります。ただし、少し消費電力は上がります。H.264へのエンコードなど、処理速度アップを求めたい人向けです。メモリはDDR SDRAMを使用します。
PT3 2枚挿し対応PC
PT3を2枚挿しできるPCとして以下の構成を考えてみました。これで地デジ x4、BS・CS x4の合計8番組同時録画が可能になります。
マザーボードはMicro-ATX規格のASUS B85M-Kを選びました。PT3はPCI Express x1で動作します。PCI Express x16スロットなどリンク幅が大きいバスでもx1動作できるはずなのですが、x1動作の切り替えをできないマザーボードが存在します。最近のマザーボードだとBIOS設定で切り替え可能なものが多いと思うのですが、カタログスペックだとその点が良く分かりません。そのため、最初からx1バスが2つあるB85M-Kを選びました。
CPUはCeleron Dual-Core G1840を選択しました。メモリはDDR SDRAMを使用します。
電源は2つのパターンを考えました。プラグイン式の玄人志向 KRPW-SXP400W/90+と直出し式のSilverStone SST-ST30SFです。2つの方式の違いは、 自作パソコンの作り方解説【できる!自作PC】の電源のプラグイン式と直出し式の違いの記事が詳しいです。
プラグイン式だと余計な配線がないのでPCケース内の空気の流れは良くなります。ただし、値段は高いです。1万円以下のSFX電源でプラグイン式のものは玄人志向の製品だけでした。
どちらの電源も80PLUS認証を受けた電源です。80PLUS認証の詳細は、ASCII.jpのこれからの電源ユニットのトレンド「80PLUS認証電源」とはなにか?の記事をご参照下さい。
注意点として、ATX規格のPCケースでSFX電源を使用する場合、上記の様な変換プレートが必要になります。
合計金額はどうなる?
今まで紹介したハードウェア構成でPCを組むと合計でどれぐらいの金額になるのかを大雑把に計算してみました。チューナーボードのPT3とカードリーダ込みの価格です。本記事投稿時点の価格.comやAmazonの価格を元にかなり大雑把に計算しています。
ファンレス | 電源付 (Intel) |
電源付 (AMD) |
ベアボーン | PT3 2枚挿 | |
---|---|---|---|---|---|
PCケース | ¥7,000 | ¥8,500 | ¥8,500 | ¥18,000 | ¥7,000 |
電源 | ¥2,500 | - | - | - | ¥6,500 |
マザーボード | ¥14,000 | ¥10,000 | ¥4,100 | - | ¥6,500 |
CPU | - | ¥5,300 | ¥6,500 | ¥5,300 | ¥5,300 |
メモリー 8GB | ¥5,600 | ¥5,600 | ¥5,800 | ¥5,800 | ¥5,800 |
HDD 3TB | ¥13,000 | ¥13,000 | ¥13,000 | ¥13,000 | ¥13,000 |
PT3 | ¥10,500 | ¥10,500 | ¥10,500 | ¥10,500 | ¥10,500 (¥21,000) |
カードリーダ | ¥2,300 | ¥2,300 | ¥2,300 | ¥2,300 | ¥2,300 |
合計 | ¥54,900 | ¥55,200 | ¥50,700 | ¥54,900 | ¥56,900 (¥67,400) |
いずれも5万円を超えてしまいました。なお、キーボードは含めていません。メモリーやハードディスクのサイズを減らしたり、PCケースを安いものにしたり、色々と工夫をすれば5万円以下で組めそうな気がします。しかし、ハードディスク容量を増やしたい、起動ドライブをSSDにしよう、PCケースは良い物にしたいなど、こだわり出すと6万円近くになりそうです。
従って、録画サーバの予算は6万円ぐらいで考えておくのが良さそうです。5万円以下で組もうとすると、妥協点が増えて、ハードディスクや電源の耐久性も犠牲にしないと難しいと思います。
最後に、この記事を参考に録画サーバを組み立てて頂ければ嬉しい限りです。