*

自作PCのCPUの選び方 - コストパフォーマンスの観点で考える

  最終更新日:2019/01/03

Pocket

CPUの選び方

 PCを自作する時にどのCPUを選ぶか、誰しも悩むことと思います。コストパフォーマンスの観点でCPUの選び方を考えてみました。

 情報が出来るだけ古くならないよう、本記事は不定期に更新しています(最終更新日:2019年01月03日)。

スポンサーリンク

CPUのコストパフォーマンスとは?

 「CPUのコストパフォーマンス」とは、価格に対する性能の評価、つまり費用対効果としてどれぐらいの性能が得られるかを評価することです。

 値段が安くて高性能だと「コストパフォーマンスが良い」、逆に高くて性能が低いと「コストパフォーマンスが悪い」と言われます。高価なCPUは大抵性能も高いですが、出来れば高性能なCPUを安く買いたいものです。

 しかし、ここで悩みます。さて、CPUのコストパフォーマンスをどう評価すれば良いのでしょうか。

 まず、CPUの性能はベンチマークソフトで分かります。ここでは代表的なベンチマークソフトとしてPassMarkのCPUベンチマーク結果を紹介します(以降の数値はリンク先のデータを主に流用)。

 以下でグラフにしてみました。前面の棒グラフがシングルコア、背面がマルチコアの結果になります。

PassMark - CPUベンチマーク結果

PassMark - CPUベンチマーク結果

 CPUの世代交代が進んでいるため、Intel CPUはCore iシリーズをKaby Lake以降、CeleronとPentiumはCoffee Lake以降に限定しています。

 Core iシリーズは、7000番台のKaby Lake(2016年~)までは少しずつしか性能アップしていなかったのが、8000番台のCoffee Lake(2017年~)で大きく性能アップしています。

 これはコア数とスレッド数がCoffee Lakeで増えた影響です(Core i7では4から6に増加)。シングルコアの性能があまり上がっていない事からもそれが分かります。

 RyzenはCore iシリーズと比較してシングルコアの結果が低いことが分かります。その弱点をコア数の多さで補っているとも言えます(Core i7 8700のコア数6に対して、Ryzen 2700は8)。その傾向はRyzen APUでも変わっていません。

 次に2019年01月03日時点の各CPUのネット最安値を元にコストパフォーマンスを計算します。計算式は以下を使用します。

  • (CPUのコストパフォーマンス) = (ベンチマークの結果) ÷ (最安値) × 1000

 最後に1000倍した理由は、そのままだと小数点以下の数値になるためです。この計算で分かることは、各CPUの1000円分のベンチマーク結果です。つまり、1000円分でどれだけの性能を発揮できるのかが分かります。

 この計算式で求めた値が高いほど「CPUのコストパフォーマンス」が高いことになります。

 計算の前に価格.comの2019年01月03日時点の各CPUの最安値をグラフ化したものが以下になります。なお、記事の最後に各CPUのベンチマーク結果と最安値をまとめた表を掲載しています。

CPUの最安値(2019年01月03日)

CPUの最安値(2019年01月03日)

 さて、縦軸に「ベンチマーク結果」、横軸に「CPUのコストパフォーマンス」を取ってグラフ(散布図)を描いてみます。

PassMark基準によるコストパフォーマンス比較

PassMark基準によるコストパフォーマンス比較

 縦軸を上に行くほど性能が高く、横軸を右に行くほどコストパフォーマンスが良くなります。従って、グラフの右上に行くほど性能が高くコストパフォーマンスの良いCPUと言うことになります。

 なお、Core i7 8700KなどのIntelのオーバークロック対応製品はCPUファンが付属しないため、上図のグラフで示したよりも実際のコストパフォーマンスは悪くなります。

 上のグラフから読み取れることは次の通りです。

  • コア数が多い方がコストパフォーマンスが低い傾向
  • IntelよりAMDのCPUの方がコストパフォーマンスが良い
  • Core iシリーズの中ではCore i3が最もコストパフォーマンスが良い
  • Ryzenの中ではRyzen 5が最もコストパフォーマンスが良い
  • Core iシリーズは世代が新しくなるごとにコストパフォーマンスが良くなっている

Intel CPUの価格が高騰

 2018年9月にIntel CPUの価格がいきなり上昇しました。

 原因は、CPU製造の10nmプロセスルールへの移行が遅れ、CPUの供給体制に問題が生じたためです。

 本来はすでに10nmに移行して第9世代のCPUの製造を開始しているはずでした。しかし、従来の14nmでの製造を継続せざるをえなくなっています。

 また、Intelがサーバー向けCPUの供給を優先した事も一般消費者向けCPUの品不足につながっています。ゲーミングPCなどのPC需要が増加した点も品不足に拍車をかけています。

 Intelによると新世代のCPUで供給不足が解消すると言っていますが、しばらくはIntel CPUの価格は高止まりしたままになりそうです(参考記事:PC需要意外な急進でIntelに供給不足、ハイエンドチップから回復へ)。

コストパフォーマンス的におすすめのCPU

PassMark基準による高コストパフォーマンスCPUの選択

PassMark基準による高コストパフォーマンスCPUの選択

 コストパフォーマンス的におすすめのCPUを選んでみました。

  • Celeron G4900
  • Pentium G5400
  • Core i3 8100
  • Core i5 8400
  • Ryzen 5 2600
  • Ryzen 3 2200G
  • Athlon 200GE

 それぞれの種類のCPUの中で、先程のグラフから単純に一番右に位置するものを選んでいます。

 ただし、Core i7、i9とRyzen 7からは選んでいません。理由は、これらはコストパフォーマンスを気にして選ぶべきCPUではないからです。値段を気にせず最高の性能が欲しい人向けのCPUです。そもそも、グラフでもほぼ左寄りなので、コストパフォーマンスは他のCPUと比較して悪いと言えます。

 全体的な傾向についても触れておきます。グラフを見れば明らかなように、コストパフォーマンスの値が500前後で左右にIntelとAMDに分かれてしまっています。価格高騰のあおりを受け、Intel CPUのコストパフォーマンスはハイエンドもローエンドも全ての面でコストパフォーマンスが悪いです。

 コストパフォーマンスだけ見るとIntel CPUを買う理由は見当たりません。しかし、AMD CPUはメモリ等のパーツの相性問題などの癖がある点、Intel CPUの方がシングル性能(IPC)が高い点などを考えると、少しぐらい高価でもIntel CPUを選ぶ方が良いかもしれません。この辺りは好みの問題です。

 以降でそれぞれのCPUに関してもう少し掘り下げて説明します。

 ただし、コア数やクロック周波数などの細かなカタログスペックについてはこの記事で説明しません。

 この記事を読まれている皆さんが気にされているのは、最終的に自作したPCが体感的に速いか遅いかの違いだと思います。そのため、以降で説明するのは主に体感的なことになります。

Celeron、Pentium


 CeleronとPentiumから選んだのは、Celeron G4900とPentium G5400です。

名前 最安値 PassMark
☆Celeron G4900 \6,133 3284
(1800)
☆Pentium G5400 \9,280 5193
(2181)
Core i3 6100 \16,280 5490
(2107)

 表は最安値と各ベンチマーク結果(上段がマルチコア、下段の括弧がシングルコア)です。コストパフォーマンスの比較対象としてCore i3 6100も参考に入れました。

 このクラスのCPUは、ブラウザやメール、動画を見たり、Microsoft Officeを使うなどの用途に向いています。当然ですが、重いアプリや最新のゲームを遊ぶのには向いていません。

 消費電力が低いので、小規模なサーバーを作るのにも向いています。

 ゲームには向かないと書きましたが、上の動画を見るとPentium G5400とGeForce 1060の組み合わせで、そこそこのフレームレートで遊べてしまうようです。とりあえず遊べれば良いと言う方には、安価なゲーミングPCの構成としては有りだと思います。

Core iシリーズ


 Core iシリーズから選んだのはCore i3 8100、Core i5 8400です。

名前 最安値 PassMark
☆Core i3 8100 \16,444 8062
(2101)
Core i5 6600K 販売終了 8056
(2148)
☆Core i5 8400 \28,059 11645
(2335)

 性能比較のため、表にはCore i5 6600Kも加えました。

 Core i3クラスのCPUは昔から性能的に中途半端な位置付けでした。ゲーム用途としては不十分で普段使いのPCとしてはPentiumやCeleron程度の性能があれば十分だからです。

 しかし、上の表を見てもらえれば分かる通り、Core i3 8100は2世代前のCore i5 6600Kに匹敵する性能になっています。これならゲーム用途としても使えます。

 上の動画を見ると、GeForce 1060との組み合わせで一通りのゲームがそれなりに動いています。ただし、快適に最新のゲームを遊び続けるにはGeForce 1070以上との組み合わせでないと厳しい気がします。

 Corei i5 8400とGeForce 1060との組み合わせは上の動画が参考になります。しかし、この組み合わせで快適にゲームを遊ぶには、ゲームにもよりますが解像度1080pが限界かなと思います。CPUの購入価格を抑える意味でCore i5を選択し、GeForce 1080などグラフィックボードに費やすのもひとつの手です。

 かなりゲームよりの説明になってしまいましたが、Core iシリーズはグラフィックボードなしでも自作できるので、安価に高性能なPCを組みたい方向けには、Core i3 8100とCore i5 8400はおすすめのCPUです。

Ryzen APU


 Ryzen APUはRyzen 3 2200GとAthlon 200GEを選びました。AthlonはRyzenでは無いですが、CPUコアにZenを搭載しているため同じ分類にしました。

 最初にRyzen 3 2200Gについて解説します。

名前 最安値 PassMark
☆Ryzen 3 2200G \11,577 7327
(1828)
Core i5 7400 \24,800 7336
(1950)

 比較のため、表にはCore i5 7400を加えました。性能がほぼ同等でCore i5 7400の半額なのは魅力です。

 Ryzen APUはGPUを内蔵しており、グラフィックボードを別途必要としません。GPUの性能はGeforce GT1030相当なので、Minecraft、ドラクエX、ファイナルファンタジーXIVなど少し古いゲームを遊ぶのであれば十分な性能と言えます。IntelのCPUもGPUを内蔵していますが、それらと比較すると倍以上の性能です。

 ただし、グラフィック性能を十分に引き出すには高速なメモリを使用する必要があります。Ryzen APUではメインメモリをVRAMとして使用するためです。この件に関しては、以下の記事が詳しいです。

 高速なメモリを搭載すればグラフィック性能が向上するのは確かですが、必然的にメモリの値段も高くなるため、それならグラフィックボードを搭載したほうが良いとの判断になるかもしれません。メモリ価格が下がれば良いのですが、現状その可能性は低そうです。

 続いてAthlon 200GEの解説です。

名前 最安値 PassMark
☆Athlon 200GE \6,717 4961
(1625)
Pentium G5400 \9,280 5193
(2181)

 比較のためにPentium G5400も表に加えました。G5400と比べると多少性能は劣るものの、消費電力は200GEの方が低いです。省エネPC向けとして良いでしょう。

 グラフィック性能はG5400よりも高いものの、Ryzen 3 2200Gと比較すると半分程度の性能です。4K動画再生、サーバ用途などには向いていると思いますが、ゲーム用途としてはグラフィック性能は不十分でしょう(参考記事:「Athlon 200GE」はPentiumにGPU性能で勝るライトユースの決定版だ)。

 なお、マザーボードによってはDVI出力が使えないなど、独特な問題があります。割り切った使い方をするには良いでしょうが、金額を足してRyzen 2200Gを買うほうがストレスを感じずに済むかもしれません。

Ryzen

 RyzenからはRyzen 5 2600を選びました。

名前 最安値 PassMark
☆Ryzen 5 2600 \21,664 13538
(2009)
Core i5 8600 \30,870 12636
(2515)

 Ryzenの弱点は、シングルコアの性能がIntel製CPUと比べると低い点です(上の表のPassMarkの括弧内の値を参照)。その弱点をコア数とスレッド数の多さで補っています(i5 8600との比較ではコア数はどちらも6と同じだが、スレッド数がi5 8600の6に対して倍の12)。

 先程のRyzen APUの様にCore iシリーズの下位カテゴリー製品との比較ではシングルコア性能の低さはあまり目立ちませんでした。しかし、上位カテゴリーとの比較ではそれが目立ちます。

 そんな弱点はありますが、アプリが多く起動するような、スレッドが多く動く環境ではその性能を発揮します。マルチスレッドに対応したゲームはもちろんの事、動画のエンコードやブラウザで多くのタブを開くなどの場合にも適しています。

 Ryzenを選ぶ利点として、マザーボードのソケット、Socket AM4がしばらく継続して使用できる点です。Ryzen 5 2600は”Zen+”マイクロアーキテクチャですが、2019年以降予定の”Zen 2”、”Zen 3”まではSocket AM4が使用可能と推測されています(2020年まで?)。

 AMDは伝統的にソケットを長持ちさせる傾向があるため、CPUをアップグレードするための環境としてはベストな環境です。

まとめ

 ここまで紹介したCPUについてまとめます。

CPU まとめ
Celeron G4900 ・ブラウザ、メール、文書作成など普段使いのPC向き
・Coffee Lake世代とソケットに互換性がない点に注意
Pentium G5400 ・Celeronと同じく普段使いのPC向き
・動けば良い程度であれば、GeForce 1060搭載でゲーム用途も可
・省電力なので小規模サーバー向き
・Coffee Lake世代とソケットに互換性がない点に注意
Core i3 8100 ・ゲーム用途も可
・快適に遊び続けるにはGeForce 1070以上が欲しい
Core i5 8400 ・GeForce 1060でも解像度1080pまでなら快適にゲーム可
・内蔵GPU使用前提の高性能なPC向き
Ryzen 3 2200G ・GPU性能は紹介した中で最高
・少し古いゲームを遊ぶ用途に向いている
Athlon 200GE ・省電力PC向け
・DVI出力できない場合があるので注意
Ryzen 5 2600 ・シングルコア性能が弱いのが弱点
・スレッド数が多く動く環境では性能を発揮

 本当はクロック周波数やコア数、スレッド数、TDPなど細かい点まで挙げて説明するべきだったかもしれません。しかし、結局のところ用途に応じて快適に使えるかどうかが最終的に大事な点なので、それらの細かい要素は省略しました。

 今後も新しいCPUが発売されるごとに記事を更新する予定です。

おまけ

CPUの簡易仕様、ベンチマーク結果、最安値の一覧表

 2019年01月03日現在の本記事で取り上げた全CPUの簡易仕様、ベンチマーク結果、最安値を一覧表にまとめました(”-”の箇所は不明データ)。

 CPU名のリンク先は各CPUの仕様ページです。最安値のリンク先はAmazonの商品ページです。なお、最安値=Amazon価格ではないのでご注意下さい。

CPU Clock Core
(Thread)
TDP PassMark 最安値
Celeron G4900 3.10GHz 2(2) 54W 3284(1800) \6,133
Celeron G4920 3.20GHz 2(2) 54W 3302(1828) \6,481
Pentium G5400 3.70GHz 2(4) 54W 5193(2181) \9,280
Pentium G5500 3.80GHz 2(4) 54W 5241(2192) \11,358
Pentium G5600 3.90GHz 2(4) 54W 5696(2265) \12,877
Core i3 7100 3.90GHz 2(4) 51W 5780(2228) \17,479
Core i3 7300 4.00GHz 2(4) 51W 6442(2318) \24,376
Core i3 7320 4.10GHz 2(4) 51W 6541(2364) \22,280
Core i3 7350K 4.20GHz 2(4) 60W 6623(2437) \24,524
Core i3 8100 3.60GHz 4(4) 65W 8062(2101) \16,444
Core i3 8300 3.70GHz 4(4) 62W 8695(2168) \20,322
Core i3 8350K 4.00GHz 4(4) 91W 9242(2341) \22,972
Core i5 7400 3.00GHz 4(4) 65W 7336(1950) \24,800
Core i5 7500 3.40GHz 4(4) 65W 8025(2114) \26,584
Core i5 7600 3.50GHz 4(4) 65W 8772(2294) \29,624
Core i5 7600K 3.80GHz 4(4) 91W 9126(2384) \31,848
Core i5 8400 2.80GHz 6(6) 65W 11645(2335) \28,059
Core i5 8500 3.00GHz 6(6) 65W 11895(2407) \28,879
Core i5 8600 3.10GHz 6(6) 65W 12636(2515) \30,870
Core i5 8600K 3.60GHz 6(6) 95W 12775(2517) \31,989
Core i5 9600K 3.70GHz 6(6) 95W 13450(2679) \32,949
Core i7 7700 3.60GHz 4(8) 65W 10742(2348) \39,480
Core i7 7700K 4.20GHz 4(8) 91W 12039(2584) \47,470
Core i7 8700 3.20GHz 6(12) 65W 15127(2627) \40,980
Core i7 8700K 3.70GHz 6(12) 95W 15953(2702) \48,949
Core i7 8086K 4.00GHz 6(12) 95W 16690(2836) \59,800
Core i7 9700K 3.60GHz 8(8) 95W 17266(2821) \47,566
Core i9 9900K 3.60GHz 8(16) 95W 20137(2897) \64,599
Ryzen 3 1200 3.10GHz 4(4) 65W 6744(1714) \10,800
Ryzen 3 1300X 3.50GHz 4(4) 65W 7479(1880) \16,739
Ryzen 5 1400 3.20GHz 4(8) 65W 8377(1716) \15,413
Ryzen 5 1500X 3.50GHz 4(8) 65W 10083(1855) \20,951
Ryzen 5 1600 3.20GHz 6(12) 65W 12265(1822) \20,980
Ryzen 5 1600X 3.60GHz 6(12) 95W 13234(1977) \28,480
Ryzen 5 2600 3.40GHz 6(12) 65W 13538(2009) \21,664
Ryzen 5 2600X 3.60GHz 6(12) 95W 14356(2142) \25,909
Ryzen 7 1700 3.00GHz 8(16) 65W 13746(1775) \29,739
Ryzen 7 1700X 3.40GHz 8(16) 95W 14681(1883) \27,174
Ryzen 7 1800X 3.60GHz 8(16) 95W 15389(1967) \30,435
Ryzen 7 2700 3.20GHz 8(16) 65W 14966(2003) \35,348
Ryzen 7 2700X 3.70GHz 8(16) 105W 16968(2194) \35,426
Athlon 200GE 3.20GHz 2(4) 35W 4961(1625) \6,717
Ryzen 3 2200G 3.50GHz 4(4) 65W 7327(1828) \11,577
Ryzen 5 2400G 3.60GHz 4(8) 65W 9291(1937) \17,643